5月16日(金)
安倍政権は集団的自衛権の行使について、憲法解釈の変更で容認する方針を明らかにしました。昨日の記者会見では、パネルを使って、拳を握って力説する安倍首相から異様な高揚感が伝わってきました。積年の宿願がようやく実現するという高揚感だったのでしょうか。
1972年、日本政府は、集団的自衛権の行使は認められないと明確化し、以来、今日まで積み上げられてきた政府見解が、今、根底から変更されようとしています。しかし、国会の議論もなく、国民自身が決める憲法改正という手段でもなく、単に、閣議決定で変更するというのは、納得できません。
今後も、その時々の政権の判断で憲法解釈が変更されることにつながり、憲法によって権力者を制限する立憲主義を否定するものです。
首相が記者会見で挙げたいくつかの事例は、どこか現実離れしているような印象を受けました。実際にそういったケースがどれだけあるのか、これまでの憲法の考え方や個別的自衛権で対応できないのか、疑問が膨らみました。
歴史に学べば、どの戦争も最初は自衛のために始まっており、限定的と言いながらどんどん拡大していく、止められなくなる危険性をはらんでいます。
いずれにしても、我が国の安全保障の最前線で犠牲を払う自衛隊のみなさんや国民の理解と納得を得なければなりません。政府には丁寧に慎重に、そして国会においてしっかり議論されることを求めます。