川内原発、ついに再稼働。

8月11日(火)

東日本大震災からちょうど4年5か月。福島第一原発の汚染水の処理、廃炉に向けた道筋が全く見えないまま、本日、鹿児島の川内原発が再稼働しました。

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九州電力の社長は「事故は決して起こさないという固い決意」とコメントしていますが、事業者の決意だけで事故が防げるわけではありません。私たちが福島の事故から学んだことは、原発の事故リスクをゼロにすることはできないこと、そして、もし事故が起これば国全体が崩壊しかねない大惨事になるということです。福島の事故によって、未だに避難生活を余儀なくされ、今年のお盆もご先祖のお墓参りが出来ない方々が大勢いるのですから。
私は、今般の再稼働には、危機管理の観点から二つの問題があると思います。

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第一に、原子力規制委員会の新基準と原子力防災は「車の両輪」のはずだったのに、防災の側面がなおざりにされていることです。福島の事故後、原子力防災の対象範囲は半径30キロ圏に拡大され、住民避難の対象も大幅に広がりました。
しかし、川内原発では新しい避難計画に基づく住民訓練は実施されていません。もし事故が起これば、国も地元自治体も、放射能の恐怖に晒される住民の方々の安全確保のため、非常に難しいオペレーションを求められることになります。その備えができていないのに、今ここで再稼働して本当に大丈夫でしょうか。

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第二に、事故の責任が事業者に集中していることです。福島の教訓の一つは、原発事故対応を事業者任せにはできないということです。安倍政権はエネルギー基本計画で、原子力規制委員会によって新規制基準に適合すると認められた場合、再稼働を進めていくことを閣議決定し、事実上、再稼働の判断を規制委員会と事業者に委ねています。しかし、原子力規制委員会は、絶対安全、100%安全とは言いきれない、と述べています。
また、新規制基準は、放射性物質が漏れ出す過酷事故の対策を初めて事業者に義務付けましたが、過酷事故対応は危機管理そのものなのに、国の役割が明確ではありません。要するに、事業者に責任が集中したままで、福島の教訓が活かされていないのです。

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今夏は、連日酷暑が続いていますが、電力は不足していません。それなのに、なぜ安倍政権は原発の再稼働を急ぐのでしょうか。今こそ再生可能エネルギーを抜本的に増やすため、積極的な投資をすべきではないでしょうか。
原発を早く再稼働しないと、いわゆる「原子力村」の利権を守れなくなるからだとする報道がありましたが、万が一にも、特定団体の利益のために、国民の生命・安全を犠牲にするようなことは決して許されるものではないと懸念しています。

議員会館から見た国会議事堂

議員会館から見た国会議事堂

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