7月29日(金)
ヒラリー・クリントンを語るとき、夫のビル・クリントン元大統領を忘れることはできません。彼が2期8年に亘って大統領を務めた1990年代は、内外ともに激動の時代でした。自分とアメリカ大統領を比べるなどおこがましいことですが、私が地方議員として政治を志した後、国政に身を投じようかと考え始めたのも丁度その時期なので、政治家ビル・クリントンには注目していました。ホワイトハウスの研修生だったモニカ・ルインスキーとの不倫はお粗末でしたが、フェアに言って、やはり彼は偉大な大統領だったと思います。
クリントン大統領が凄かったのは、疲弊しきったアメリカ経済を建て直したことでしょう。今でこそ当たり前となっているインターネットやタブレット端末ですが、早くからITに注目し「情報スーパーハイウェイ構想」を掲げ、アメリカの基幹産業に育て上げたのはクリントン政権でした。同時に、厳しい財政支出の見直しを進め、大統領任期最後の2000年には、巨額の累積赤字を解消し、2300億ドルの財政黒字を達成しています。日本では2020年のプライマリー・バランスの黒字化ですら絶望的なのですから、いかに彼が強いリーダーシップを発揮したか分かります。
ルインスキー事件が発覚した1998年、アメリカは既にテロとの戦いに明け暮れていました。米軍がアフガニスタンやスーダンのイスラム過激派の基地を爆撃したときには、スキャンダルから世間の目を逸らそうとしているという批判もありました。ヒラリーはビルと一緒にテレビに出演し、夫を徹底的に擁護しました。そのことが評価を高めることに繋がっていくのですが、彼女は不倫を許したことで称賛されたわけではありません。アメリカ大統領を守り、国難を乗り切ったことで、称賛されたのです。そこは決定的に違います。
あれから20年近く経って、いよいよヒラリー・クリントン大統領の誕生が近づいてきました。本当に頑張って欲しい。ところで、ヒラリーが大統領になると、ビルは何て呼ばれるのでしょう?妻の場合がファースト・レディーですから、ファースト・ジェントルマンでしょうか? (笑)。