対テロ戦争と政治決断。

1月3日(火)

名優ヘレン・ミレンの主演作「アイ・イン・ザ・スカイ  世界一安全な戦場」を観に行きました。ミレン扮するパウエル英軍大佐は、6年の歳月をかけてアフリカのイスラム過激派組織アル・シャハブのテロリストがナイロビの家屋に潜伏していることを突き止めます。いよいよミサイル攻撃というその直前に、何も知らない隣家の少女がすぐ近くの道端でパンを売り始めます。上空のドローンがとらえた少女の映像を前にして、英国政府首脳は攻撃許可を躊躇しはじめます。少女が爆撃に巻き込まれ命の危険に晒されれば、国民や国際社会からの批判を免れないからです。一刻を争う事態なのに!と現場で指揮をとるパウエル大佐は苛立ちますが、決断力のない政治家を促すため、少女が犠牲になる可能性が50%未満となるよう部下に再計算を指示します。ロンドンの作戦指揮室にいる外務閣外相は自ら決断することを忌避してシンガポール訪問中の外務大臣に指示を仰げと逃げ、さらにストラスブール訪問中の首相に上がり、首相からは二次被害を最小限にせよという曖昧な指示しか来ないシーンは本当に噴飯もの。インテリジェンス先進国のイギリスにおいてすら、政治家はこんなにも情けない姿に描かれているかと唖然としました。「シン・ゴジラ」のなかで描かれた日本の政治家像と共通するものがあり、なんとも身につまされます。

東京体育館の春高バレー大会、偶然見つけて観戦しました。新潟県からも参加しており、熱戦にエールを送りました。

東京体育館の春高バレー大会、偶然見つけて観戦しました。新潟県からも参加しており、熱戦にエールを送りました。

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ここまでテロリストを追跡してきたのに、たった1人の少女のために撤退など到底認められない、なんとしても攻撃するために二次被害の見積りを50%未満にするのだと部下に圧力をかけるパウエル大佐の姿には危うさも感じました。少女が犠牲になる可能性が45%と見積もられたことを受けて、外務閣外相はようやく攻撃許可を出すのですが、爆撃の影響で吹き飛ばされた少女は結局死んでしまいます。少女の死は更なる自爆テロを防ぐためにやむを得ない犠牲だったのか? パウエル大佐の情報操作はどう正当化されるのか?
監視衛星やドローンなど科学技術が進化し、戦場にいなくとも遠く離れた地からボタン一つで爆撃や殺戮できる現代。いまこうしている時も、この映画と同じような殺戮が行われているのかもしれません。本当に恐ろしい時代になりました。しかし、いかに技術が進歩しようとも、法制度をいかに整備しようとも、戦争を遂行するのは結局のところ人間なのです。殺す側も、殺される側も同じ人間。テロをめぐる暴力の連鎖が世界で吹き荒れる中、実に考えさせられる衝撃的な映画でした。

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