11月5日(火)
英語民間試験は急転直下で実施延期となりましたが、抜本的見直しは今後1年を目途に検討されます。この間の混乱と責任を検証し、次につなげていくことが大切であり、本日、文部科学委員会において、新大学入学共通テストに関する参考人質疑が行われました。
現在の高校2年生から実施される共通テストの問題点は大きく2点あります。萩生田文科大臣の「身の丈」発言によって、制度が抱える欠陥が全国民に知れるところとなり、延期に追い込まれた英語民間試験問題、そして国語・数学に導入される記述式問題です。
まず、英語試験の実施団体であるベネッセコーポレーションに対して、民間事業者がビジネスとして参入する以上、金持ちの家の子どもが得をし、そうでない子どもが損をする経済的格差、都会と地方の地域的格差を埋めるには限界があるのではないか、伺いました。
ベネッセ社で学校カンパニー長を務める山﨑参考人は、都市部では受験会場を確保できるが、地方では会場確保や実施運営体制に課題があったことを述べ、地域間格差は埋まらなかったことをお認めになられました。
次に、早くから英語民間試験の導入に懸念を示し、SNS等で積極的にご意見を発信されてきた京都工芸繊維大学羽藤教授に、異なる民間試験の成績を比較するために使われる「セファール対照表」の問題点について伺いました。
羽藤参考人は、それぞれの試験によって測る能力が違うから、異なる試験を比較することはできない。例えば、50メートル走とマラソンのタイムを比べて、どっちが上かと言えないのと同じだと制度の問題をバッサリと切られました。
最後に、共通テストのもう一つの問題点である国語・数学に導入される記述式問題は、採点の正確さや公平さに不安があること、受験生が自己採点を正確に行うことが容易ではないといった問題点が挙げられていることについて、学校現場にどのような懸念があるのか、全国高等学校長協会萩原参考人に伺いました。採点業務を請け負った会社の親会社であるベネッセ社の山﨑参考人には、採点者はアルバイトでもなれるのか、採点の質は担保されているのか、伺いました。
萩原参考人は、全国の校長先生を対象にした調査結果で、民間事業者の採点訓練が必要、秘密保持に対する懸念、採点体制・基準・公平性などの指摘があったと述べられました。
山﨑参考人は、受託業者であるから、お答えするのは難しいと、苦しい答弁に終始されました。
問題山積の英語民間試験の導入は延期となりましたが、これで終わりではなく、新たな制度では、受験生が経済状況や居住地域にかかわらず、平等に試験を受けられるよう公平性・公正性が担保されるものにしていかなければならないと考えます。