花角知事は、柏崎刈羽原発の再稼働の是非について「月内に判断する」と表明しました。議論が最終局面に入りつつありますが、県民の皆様が抱いてきた不安や疑念が解消されないまま、結論だけが先行するような状況には強い懸念を持っています。
改めて問われているのは、「再稼働を認める前提が本当に整っているのか」という根本の問題です。東京電力は一連の不祥事により信頼を大きく損ない、原子力規制委員会の審査に適合した後も新たなトラブルが続きました。安全対策の徹底や組織文化の改善は、形式的な報告だけでは県民の納得には到底つながりません。
そして何より重要なのが、先日公表された県民意識調査です。調査では「再稼働の条件は整っていない」という回答が優勢であり、原発周辺地域を含めても不安の声が依然として根強いことが明らかになりました。避難体制の実効性、安全対策の見える化、事業者への信頼――いずれの点も、「十分に整っている」と言える状況ではありません。一部の項目で「容認」傾向がみられる数字があっても、そこだけを切り取り、「準備は整った」と結論づけることは政治としてあってはならない姿勢です。
さらに、避難道路整備や特措法の対象拡大といった国の施策が、再稼働判断と事実上一体で進められているように受け止められている点も大きな問題です。避難道路の完成時期や機能の実証が不透明なまま、交付金などの経済措置が積み上がる構図は「見返り」に映り、県民の冷静な意思形成を損ねかねません。原発政策において、安全対策と経済的メリットは厳格に切り離して議論すべきであり、交換条件のような進め方は決して認められません。
県民の不安が拭えないまま、国や経済界の求めるままに再稼働を認めることは、新潟県のリーダーとして本当に責任を果たしたと言えるのでしょうか。さらに、「県民の信を問う」としてきた方法が、県民投票ではなく県議会での判断に置き換えられるのであれば、それは明確な公約違反であり、到底認めることはできません。
私は、あの福島の事故の悲劇を決して繰り返さないためにも、県民の命と暮らしを守る立場から、東京電力による再稼働を認める判断には明確に反対します。









