11月25日(金)
人生には「まさか!」という坂がある。確か、小泉純一郎元首相が語った言葉だったように記憶しています。わたしの身の上にも、まさかが起こりました。
昨日、手術を担当して下さった医師に、MRIの画像を見せられ、説明を受けた母はショックのあまり涙を流していました。その横に座っていたわたしは、なんという親不孝をしてしまったと、母と一緒に泣きたくなりました。
脳は地図のようなもの。全身の司令塔であり、たった1ミリ、ズレてもおかしくなる。手術の直後は、心も体も上手にコントロールできなくなりました。突然涙があふれたり、絶望的な気分になるのです。地図を失った難破船のごとく、これから自分はどうなってしまうのだろうかという不安や焦りが波のように繰り返し襲ってきました。
毎日、リハビリのため、病棟の廊下を歩きます。1周、2周、3周。くるくる回ります。最初はその距離が途方もなく長く感じたのに、まっすぐにバランスを崩さず歩くことが奇跡のように思えたのに、だんだん人間らしく、上手に歩けるようになってきました。とても嬉しい。心のなかでガッツポーズ。
政治をやりながら、全てを自分の意志で決め、どんなことも自分の力で突破してきたと思っていました。「自分で決められることなんて一つもないんだよ。」麻酔から醒めて意識が戻ったベッドの上で、どこからともなく聞こえてきた。不思議な声。でも、今は、本当にそのとおりだと思います。運命に立ち向かう、なんて思わない。運命をそのまま受け入れて生きよう、と思う。
24時間体制で、命を救うため全身全霊働いて下さっている医師の方々の献身、その手のぬくもりや優しい笑顔でどれだけ救われたかわからない看護師の皆さん、毎日黙々と病室を掃除してくれるおばちゃん、本当にたくさんの方々に支えられて闘病しています。ありがとうございます。