5月19日(水)
外国人の収容・送還に関する制度を見直す入管難民法改正案について、これまで衆議院法務委員会で議論が続いてきましたが、政府・与党は今国会での成立を断念し、廃案となる見通しとなりました。
きっかけとなったのは、名古屋市の出入国管理施設に収容された30代のスリランカ人女性が死亡する事案が3月に発生し、この事案に関する映像や情報の開示を法務省が拒否したことです。
法務省はスリランカ人女性のご遺族に対しても、死に至った原因や経緯の説明を拒み続け、国会審議への非誠実な対応もあり、この事案の必要な映像・情報の公開や実態解明のないままの改正案成立は到底認められるものではありませんでした。
また、今回の改正には、難民認定の手続き中でも国外退去処分を可能とすることが盛り込まれていました。この規定は、国連難民高等弁務官事務所が難民条約に違反するおそれがあるとして重大な懸念を表明しているものでもあり、私たちはこの規定の削除を求めてきました。
さらに、日本は国連難民条約の批准国ですが、例えば2018年には19,514人の難民申請に対し、認定されたのは42人だけと極めて低い認定率となっています。また、難民申請を却下された外国人を収容する施設の設備の劣悪さは、様々な人権団体などから問題視されてきました。
スリランカ人女性のような悲惨な事案が実は他にも行われている可能性があります。日本は外国人の命や人権、尊厳を軽んじる国だと国際社会から批判されることがないよう、ここはきっちりと正していく必要があります。引き続き、実態解明を求めていくとともに、入国管理制度のあり方について議論を進めていきたいと思います。