11月19日(木)
名護市辺野古沖の埋め立てをめぐり、安倍政権と沖縄県の対立が訴訟合戦へと泥沼化しています。国は17日、翁長知事の代わりに承認の取り消しを撤回する代執行を求めて提訴。一方、知事は、埋め立て承認の取り消しを一時停止する国土交通省の決定を不服として、国を提訴する方針です。複雑で困難な政治・外交上の問題解決を司法に委ねるとは…。安倍政治の劣化を感じます。
古代ギリシアの時代から、政治の本質は「言葉による説得」です。都市国家・ポリスにおいては、暴力ではなく説得によって意思を決めることとされていました。民主主義の源流が古代ギリシアにあると言われる所以ですが、民主主義においては、多数を握る政治権力が少数者の利益を踏みにじる恐れが常にある。だから、近代立憲主義は、権力分立と司法の独立を定めているのです。
したがって、政治権力である安倍政権が、沖縄県との関係において、言葉による説得を放棄し、司法の場に解決を求めるというのは、二重の意味において「政治の劣化」ということができるでしょう。安倍総理は、ことあるごとに民主党政権の責任をあげつらいますが、政権をとってすでに3年も経つのですから、そろそろ言い訳は止めてほしい。
今年8月、菅官房長官は一ヶ月間だけ埋め立て作業を中断して、翁長知事と話し合いました。しかし、普天間の辺野古移設絶対反対を掲げ、沖縄県民の圧倒的支持を得て当選した知事が、たった一ヶ月間の対話で納得するはずがないでしょう。なぜもっと粘り強く、忍耐強く説得しないのか。地方主権だの、地方創生だの言葉だけが虚しく聞こえます。